(500)文字のレビュー『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』★★★1/2※CULT「小松菜奈映画としても最高。そして、作品も侮れない達成度の高さ」

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』★★★1/2※CULT

種市先輩こと福士蒼汰が主演ではあるけれども、やはり文字通り全編輝いている小松菜奈さんにメロメロになるのが正しい鑑賞法だ。

「ポスターなどの小松菜奈さんが可愛い」「京都が舞台」「一緒に観る映画が重苦しくて長いので、短くてサクっと観られそうなもの」

そんな理由で観に行ったのにも関わらず、満足度のずば抜けて高かった作品。三木孝浩監督の作品は今回が初だが、いわゆる「この手のジャンル」に関してはベテランと言ってもいい。通常「この手のジャンル」の映画を積極的に観に行かない人間としては不勉強も甚だしいが、今作は「この手のジャンル」に加えて藤子・F・不二雄の「SF(すこしふしぎ)」なエッセンスもあって、全編ずいぶんと楽しませてもらった。そのエッセンスは前編でチラホラと布石が張り巡らされているが、不意を突くタイミングで突然現れるタイトルによって「おや」っとなるのが非常に上手い。もちろんこれは原作も未読で予告も観ておらず、予備知識がまるでなかったから味わえたのかもしれないが、狙いとしては見事にハマっているように思う。タイトルが出ることによって、このタイトルがほぼ完全にネタバレになっていることが分かる仕掛けだ。もちろんSF的なロジックで言えばどう考えても辻褄の合わない事や腑に落ちない部分は多々あれど、個人的にはヒロイン小松菜奈さんや、舞台となる京都の魅力がそれを補って余りある。映画の面白さというのは得てしてそういう事で判断される。加えて、肩の力が完全に抜けて「ザ・東出昌大」とでも言うべき東出くんの「絵に描いたように好感度の高いクラスメート」ブリや、作品上全く意味不明に「部屋のオーディオ趣味がガチ」という美術設定などの余録も。

途中で止められない「劇場での映画鑑賞」という体験が、行き交う電車に象徴される作品の構造にもリンクして、ラストでは何とも言えない余韻を生んでいる。

とは言え、やたらと輝いている小松菜奈のアイドル映画として観るのが最適解であることは言うまでもない。

【111分/シネマスコープ/2Kマスター(TOHOシネマズ富士見2番スクリーンにて鑑賞)
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