(500)文字のレビュー『ダンケルク』★★★1/2※CULT:レビューその2「IMAXフルアスペクト比で劇場用映画を観るという異次元体験」

『ダンケルク』(DUNKIRK)★★★1/2※CULT

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レビューその2「IMAXフルアスペクト比で劇場映画を観るという異次元体験」

《レビューその1【IMAXで観る意味について】はこちら》

予想通りという言葉では到底表せない「想像を絶する」映像体験は現在唯一無二の強烈さ。

クリストファー・ノーランが究極の目標として掲げている「映画館で映画を観てもらう」というテーマ。「映画というコンテンツは内容が至上なのだから、どういったフォーマットで観ても同様に楽しめるべき」という考え方の方もいるでしょうし、事実筆者自身も80年代初頭からテレビの洋画劇場で映画ファンになった世代として、家庭での小さなモニターでの鑑賞を否定するつもりは毛頭ありません。

とはいえ、いえ、だからこそ、「映画館で映画を観る」という従来の基本的な鑑賞方法に対してオールドファンよりも過剰な憧れとこだわりがあるように思います。

テレビで初めて観て、何度も自宅のモニターで観続けた映画を、本来の鑑賞方法である「劇場のスクリーンで鑑賞したい」という気持ちが強くあります。

言うまでもなく【劇場用映画】は文字通り「劇場」=「映画館」で鑑賞することを「基本的な前提」として製作されていますし、されてしかるべきだと考えます。それこそ80年代以降のビデオグラムの普及によって、家庭での視聴も興行面で重要な側面を持つことにもなりましたし、そこでの収益を念頭に置かないと製作できない作品も数多くなっています。

結果、それは映画ファンの「映画館離れ」を生み出すことにもなりましたし、事実自分自身も段々と取捨選択の幅が狭まってしまったこともあります。

そんな中、クリストファー・ノーランが率先して(当時は孤軍奮闘と言ってもいい状態で)「映画館へ映画ファンを呼び戻す」という目的を明確に持った上で自作を作製することになります。

その方法としてとられたのが、「映画館でないと体験できない視聴体験」

それは、考えてみれば単純に当然の帰結だったことでしょう。

その単純な方法論の単純な結論は

「家庭では絶対に再現できない、映画館でないと鑑賞できない巨大なスクリーンとド迫力の音響システムでの上映」

シンプル極まりないことですが、完璧に正解であることも確かです。

そこで選ばれたのがIMAXというフォーマットだったわけですね。

というわけで、そのIMAXで撮影された映像を(ほぼ)ノーランの意図通りの環境で鑑賞できる大阪エキスポ109でのレーザーIMAXで鑑賞した結果はどうだったのか。

飛行機で往復「3万近くの旅費」と、鑑賞料金「IMAX料金プラス600円」などなど、普通に映画を観ている人たちにはなかなか理解されないような多額の費用をかけた上で、たった106分の一本の映画を観るという体験。

結論から言いますと、これはもうその多額の費用をかけてもなお余りある

【未曾有の鑑賞体験】

だったと言えるでしょう。

観終わった時は茫然自失で、文字通りこんな感じw

そう、まさに【鑑賞体験】なわけですよ。

それこそ視界からはみ出る(画面を捉えきれない)上下に広がる広大な映像を用いて、観客に叩きつけられる「映像」と「サウンド」の持つ凄まじい「圧」。文字通り「圧倒」という言葉ふさわしい。

本編の70%近くということで、基本的には全編延々だだっ広い画面の中で、「陸海空」の3つの舞台で繰り広げられる「戦争」の中へ観客は強制的に叩き込まれます。

従来であればそういった「没入感」には多大な演出技術を用いられ、なおかつそれに腐心してきたのがクリエイターたちであったわけですが、その演出技術の一手として、「撮影フォーマット」を取り込んでしまった革新性は功罪は抜きにして、強烈な効果を生み出すことに成功しています。

「カットを割ったり」「フレームを変化させたり」「役者に芝居させたり」という【劇映画】としての基本的なことが映像の中で行われているわけですが、それを「超巨大な画面で見せる」という凶悪かつブルータルな方法によって、異次元の領域に昇華されてしまっていることに全身が震えるような衝撃を受けることになります。

『予想を遥かに超えた体験』というのは、映画を観た後の感想としては至福とも言えるものではないでしょうか。

それこそ、間違いなくこの鑑賞を「体験」された方なら誰しもが抱く感動でしょうし、観客全員に同様の感動を与えるという意味では、掟破りに近いとは言え意義のある創作だと断言できます。

しかし、「おっきい画面で観るとすっごく迫力満点なんです!」という知能指数0的な一行感想で済んでしまう事を、ここまでダラダラ書いてしまってはあまりにも馬鹿げている。

なので、本編同様3つのステージに分けて感想を書くこととし、次は最後に「単純に映画としての『ダンケルク』はどうだったのか?」について書こうと思います。

果たして、家のモニターで観ても楽しむことができる作品なのか!?

【その3へつづく】

『ダンケルク』の驚異的な映像を多少なりとも再現しようとするなら4K&HDR収録のUHD一択になります。もちろん再生環境が必要ですが、将来的な投資という意味でも余裕があれば、こちらのセットを購入しておいたほうが精神衛生上よろしいかと。

従来スチール・ブックの商品はブルーレイのみになることが多い中、今作ではキチンとUHD同梱版としてリリース。これは大変素晴らしい仕事。

ノーラン作品に欠かせない盟友ハンス・ジマーが、時計の秒針の音を効果的に使用したテンションの高いサウンドトラックを。

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