『虐殺器官』★★

ゴリゴリのミニタリーアクションとしては面白いんですが、全体的にまったく緊迫感が感じられないのは、意図的にロボトミー兵士の気持ちを体感させているのか?(なわけない)
全体的にペダンチックさが鼻につくものの、押井守のような目に余るようなものではなく、素直に作品のタッチとして機能しているので反感を覚えるほどではない。タイトルでもある「虐殺器官」という不思議な言葉の意味が「実はそのままネタのすべてだった」という種明かしには「おお!」と。そして、「これって黒沢清の『CURE』そっくりだ」なと。調べてみると原作者の伊藤計劃氏が黒沢清の大ファンだということで納得。とはいえ、バキバキのハードコアミリタリーSFに『CURE』を持ってくるミックスアップのセンスはポイント高し。同じく上述の押井守関連で言えば『機動警察パトレイバー劇場版』の有名な帆場暎一が「死ななかった場合」の様なifも想像できて。原作未読なのだが、テーマとなる「言語」の扱いで言えば、やはり「小説」という表現方法のほうが「映画」よりもしっくりきそうだなあと。そして、その考えが観ている間中、頭の片隅に居座っているような没入の程度。個人的に音楽の座りの悪さも気になった。