『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』★★1/2

あの髪型と学ランをこれだけ馴染ませている役者力。岡田くん最高です。
「誰だってそーする おれもそーする」
長い大阪からの帰路。車を運転してくれている友人と今回の映画に関しての会話。なにせ相手は「ハッキリ言葉に出して言ってもらおうッ!」「ダービィー」のコマで、承太郎がタバコを吹き出す際の
「プ!」
という擬音を、筆者が間違って
「プッ!」
と表記しただけで訂正を促すほどの達人。
名誉のために言っておくが、筆者自身連載当時からこの
「プ!」
は多用している。だからこそ、間違えることなどあり得ないと思っていただけに、指摘された際は恥じ入るとともに「それは突っ込まざるをえない」と認めるだけの矜持はある。
そんな2人の帰路である。6時間に及ぶ長旅で、ついに「別に話題にするようなことでもないよな」と常に放置しておいた今作の話題が口をついて出た。大阪で観た「パイレーツなんとか」が6時間話題になるような映画でなかった事も原因であると弁明しておこう。
「結局、虹村形兆のアレはちゃんとやるんですかね?」
論題はそこ。
文字通り生まれついてのジョジョファンなら
「誰だってきになる おれもきになる」
神木くんはいい。彼はいつだって完璧だからなぁ。
小松菜奈さんもいい。ビジュアルだけで満点だからだッ!
懸案事項はひとつ
「今の観客はあのジェスチャー意味不明なんじゃないですかね?」
それだ。
さすがの指摘に、このビューティーもクールに話題を流すわけにはいかなくなった。

「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社)ジャンプコミック30巻38ページより引用
つまりこのデジタル社会において、もはや死滅しつつある「CD」というメディアに関しての言及と、あまつさえそのケースを「開けて、閉じる」仕草である。
そもそも論として。
我々はハッキリ言って今回の実写化に対して殆ど何も期待などしていなかったと、あえてここに告白しよう。
そんな2人なので、そもそも
「そのセリフ自体は省くんじゃないんですかね」
という結論に行き着くことに対して誰が我々を罰せられようか。
どことなく、なんとなく、お互いに「ああ、それが一番可能性が高そうスね」と。
それならこちらとしても丸く収まるっつうか、お互いに痛み分けっつうか。
そもそも何も期待していないんだから、別に何をどうしようが、我われはその諦めを知っている! いや! この監督とその作品を知っている!
果たして、虹村形兆はソレを言った。
ジェスチャーだけを省くという会心の機転でそのシーンをやってのけた。
だが、心の平穏が訪れることはない。
結果的に最も恐れていた感想に行き着いたからだ。
「特に悪くないんですよねえ」
としか言いようがねえからなあ!
キャストは良い。全員良いと言ってもクオリティだ。
ジョジョ立ちなんぞをやらかさなかったのも英断だ。
懸案にすらならならず、明鏡止水の心で臨んだ伊勢谷友介の承太郎も存外に良い。
何と言っても億泰を演じた真剣佑は、パーフェクトと言っても良い億泰ブリだった。
ただ、グレートではない。
やはり、結局三池崇史には面白い映画を作る力がないと言い切るッ!
とはいえ、心情としては
「続編には興味がある 今の所はけなさないでおいてやる」
というところか。
(いや、まあ、思った以上に楽しんだから満足なんスけどねえ)
露伴先生は誰がやるのか! トラサルディも出るようだし。第二章には期待したいスよ。
山崎賢人氏もグレートでした。
虹村形兆のバッドカンパニー戦の元ネタは、荒木飛呂彦の元ネタ帳と言っても良いスティーヴン・キングの短編『戦場』です。