(500)文字のレビュー『彼らが本気で編むときは、』★★★※CULT「そりゃ生田斗真さんみたいな顔だからでしょ? という意地悪な見方を蹴散らす本物の綺麗さ」

『彼らが本気で編むときは、』★★★※CULT

生田斗真さんが演じるリンコがほんとうに綺麗で、それだけの動機で観に行きました。

申し訳ないことに、脚本監督の荻上直子さんの映画はこれまで一本も観たことがなく、知識としてだけ「ああ、なんかほっこりな」というレベルでw なので、こちらの作品もタイトルは知っていても、アンテナには引っかかってきていませんでした。ところが、左の写真に移っているきれいな女性を演じているのが生田斗真さんだと知って、光の速度で劇場に足を運びました。果たしてその期待は1ミリも裏切られること無く、全編生田斗真さんに「ぽー……」っとなり続けながら観るという。とは言え、さすがそれだけではない映画なのも確かで。母親からお金とコンビニのおにぎりだけを与えられ、育児放棄状態の主人公ともちゃんの描写からして胸を締め付けられます。なにより、音楽を極力配したスタイルなのも併せて、音響効果による「生活感」「シズル感」が絶品なのがまた彼女の孤独を強調しています。ちょっと省略しすぎなんじゃないかなと思う部分もあるんですが、たゆたうように流れるシーンの生み出す独特のムードは大変好みでした。

また、生田斗真さんが特に派手なメイクや派手なウィッグなどをつけることもなく、なにより「声」を裏声などで作ったりせずそのままなのが大変素晴らしかったです。もちろん衣装のセンスやナチュラルなメイク、そして当然生田斗真さんの高い鼻などの超美形な顔立ちなどはそのままに描写されたリンコさんは惚れ惚れするほど綺麗でした。そのくせ、キチンと「ひと目でアレ?」と思わせる「男の残り香」を残してあるので、(差別以前の問題で)女装の人にあった時の「ギク!」という感覚をちゃんと観客に体感させているあたりも、逃げていなくて良いなあと。中学生時代のリンコを演じた高橋楓翔も説得力抜群の芝居をみせてくれて、育った後にあの生田斗真になるという悪夢のような設定に耐えうる綺麗さでした。

「差別意識」の象徴として登場する小池栄子さんがまた(ややステレオタイプとはいえ)憎々しくキャラを演じていて印象深いんですが、アノあたりの人間関係が全く説明されないので、若干置いてけぼり感があったのは残念。

主人公ともちゃんを演じた柿原りんかさんが「心を凍結」して普通の生活を送っている感じをキチンと演じていたのは絶品。最初の夜にリンコさんが気合を入れて作った唐揚げの頬張りかたや、お花見の時の切り干し大根の食べ方など、将来が期待できる食いっぷりでした。

リンコのパートナーであり、ともちゃんのおじさんを抑えに抑えた静謐な芝居で見せてくれる桐谷健太もダブルヒロインを見事に受け止める大役を飄々と演じていて、もうチビT(『タイガー&ドラゴン』で演じたキャラ)だとバカにできないです。

まあ、しかし、繰り返しになりますが、生田斗真さんの綺麗さは本当に良いものを見せていただけましたよ。持論として「人間は女性と男性という性別以前に、キチンとした人間とそうでない人間がいる」と思っていて、単純に生田斗真さん演じるリンコさんは「キチンとしている人間」なので、それが本当に「綺麗」だなあと。

【127分/ビスタサイズ/2Kマスター(イオンシネマ板橋10番スクリーンにて鑑賞)】
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