(500)文字のレビュー『きょうのキラ君』★★1/2「感動ポルノに陥らなかった勇気ある爽やかな良作」

『きょうのキラ君』★★1/2

主演中川大志の貧弱でないゴツさも「不良系」の説得力十分。角度に寄って印象の変わる顔を持つ飯豊まりえさんは「引っ込み思案の動物オタク」というヒロインの属性にピッタリはまっている。

【LGM】(ローティーン・ガール・ムービー)の記号的パーツである「奥手のヒロン」「心臓病」「不良系」「どうでもいい男の同級生」「可愛いサブヒロイン」「教会で結婚」「全力疾走」「海」「墓参り」などなどを律儀に網羅しつつも、どれも結構キチンとした理由付けがあったり、ドラマがあったり、「灰汁」が取り除かれていたりで、「余命系LGM」の中では極めてストレスの少ない気持ちのいい作品に仕上がっています。面倒な「取り巻きのクズ」などは開始早々(文字通り)ボコボコにされて排除されるのも◯。「長い前髪を切ると見違えるほど可愛くなる」という願望充足もキチンと。ビックリしたのが、「え? あんた雑魚キャラでしょ?」という男子がいきなり【LGM】最大の必須記号である「全力疾走」をし始めたときは心底驚かされましたが、その彼にしっかりと「全力疾走」に値するバックボーンがあったのには二度驚かされることに。加えて、「可愛いサブヒロイン」を演じる平祐奈さんが必要以上に可愛いのは思わぬ副産物(案の定今年公開の映画に多数出演予定)。学校のロケーションはオシャレ系校舎で、現実との距離感も作品のスタイルに合っていると思います。なにより気持ちが良いのは「病弱系LGM」であるにも関わらず、安易な「感動ポルノ」に陥らなかったエンディングに拍手。P.S.安田顕のお父さんを観た時、恐らくターゲットの女子高生たちには到底味わえない感慨が胸に去来した事を記しておく。

【109分/ビスタサイズ/2Kマスター(イオンシネマ板橋2番スクリーンにて鑑賞)】
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