(500)文字のレビュー『3月のライオン前編』★1/2「清原果耶さん演じるひなちゃんは可愛くて最高!という感想しか書くことがない凡作」

『3月のライオン前編』★1/2

神木くんをはじめ、キャスティングはあまり違和感もなく満足できるのですが、いかんせん……

アニメ版にハマり、原作も最新刊まで読んでからの実写版鑑賞。はじめにお断りしておくと、アニメ版も原作コミックも、序盤で頻繁に顔を出す「鬱陶しい内省的な部分」は個人的に好きではありません。ただし、アニメ版も原作コミックも、それを補って余りあるほどの「面白さ」が充満していて、「将棋」部分の盛り上がりかたや、「3姉妹」を巡るほのぼのコメディの部分などがやたらと面白い。

ところが、こちらの実写版。要するに上述の「将棋勝負」「3姉妹のほのぼの」さなどの「面白さ」の部分がかなり薄められている上に、特殊メイクで作品世界から浮きまくっている二階堂が象徴するように、総じて「スベって」いるんですよね。つまり、そうなってくると、「鬱陶しい」部分だけが表出化してしまったところに、邦画界の悪しき「お泣かせレイプ」の部分が全面に押し出されている結果に。加えて書くならその「お泣かせ」部分ですらスベり気味なので、観ている間ずっと「いったいぜんたい何がしたいんだ?」という気持ちで138分を耐え続ける結果に。138分といえば『エイリアン2』ですが、体感時間が10倍は違っていたということはココに記しておきたい。

何とも言えない清潔な美しさと可愛さがあって、原作のひなちゃんとはまた別の魅力が満点。

そんな中、キャスティングはコミックを読んだあとでも大きく外すこともなくうまくいっているように感じました。中でもひなちゃんを演じた清原果耶さんは『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』のちょっとした出番ですら可愛かったのに、本作ではヒロインと言ってもいいほどの高ポイントでした。

逆に割りを食ったのが大好きな有村架純さん。個人的に好きになれない香子というキャラなのも貧乏くじでした。

しかし、モブシーンや音響やカメラワークなどなど、どこ一つとっても「狙い」や「これがやりたい!」という物が一切感じられず、「テキトー」に作っているようにしか思えませんでした(もちろんそんなことを思って作っている作り手の方など一人もいないでしょうが)。シネマスコープサイズというアスペクト比ひとつとっても「だからそれで何がしたいんだよ」というノイズが全編を覆い尽くす結果に。

ただ、原作を読んでいなくてアニメも観ていなければ、ここまで反発することもなかったかもしれませんが……

【138分/シネマスコープサイズ/2Kマスター】(イオンシネマ板橋6番スクリーンにて鑑賞)

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