(500)文字のレビュー『パッセンジャー』★★1/2「ジェニファー・ローレンスの底力を見せつけられる」

『パッセンジャー』(Passengers)★★1/2

あるシーンで観客の予想を遥かに超える表情を叩きつけてくるジェニファー・ローレンス姐御。あれは衝撃的。

最近は「予告編を観ない」方針で映画に接しているのですが、「観るかどうか決め兼ねている作品」は基本的に観るようにしています。この作品も、まあ予告を普通に観ていてw

予告を観た時のイメージとしては「クリス・プラットが冬眠カプセルの故障で90年早く目覚めちゃいました。続いてジェニファー・ローレンスも目覚めちゃいました。ふたりでキャッキャウフフしていたら、宇宙船が故障したようで、クリス・プラットが自己犠牲を覚悟して、ウワアアアアーっとピンチに陥る」という感じ。

で、本編を観た後の最初の感想は「予告で抱いていたイメージのまんま」というものでした。いや、これは別に悪いわけでもなんでもないんですよ。むしろ予告編としてはまったく間違っていない。とはいえ、一応SFというジャンルには「意外な展開」というミステリー的な要素もつい求めてしまうんですよね。そういう意味では「物足りない」という事になってしまうんですが、クリス・プラットとジェニファー・ローレンスがふたりで上映時間の大半をキャッキャウフフしているという意味では素晴らしく楽しめるわけですから、ニーズには十分応えてくれている作品です。

序盤の唯一の話し相手がバーテンのロボットというあたりも『シャイニング』を強く意識しているのが分かりますが、作品自体の温度は結構高めで、ロマンチックな作りになっているのが意外と言えば意外でした。大好きな『イミテーションゲーム』の監督の作品なので、そこは期待通りでした。

二人だけで話が進むのかと思いきや、突然ローレンス・フィッシュバーンがKY感満点に目覚めて。かと思えばすぐに空気を読んで退場するあたりも「なんだ、そりゃ?」という感じで笑えます。加えて「青い珊瑚礁」の最初にいたおっさんを彷彿としたり、結局男女二人の漂流モノというジャンルの亜種なんでしょうねこれは。

個人的にはジェニファー・ローレンスが一緒にいれば十分楽しいだろうという。ドラえもんの「どくさいスイッチ」の時も思っていましたが、わたし自身にはパラダイスとしか思えない状況なので観ていてずっとニヤニヤしていたことは確かです。

しかし、よりにもよって似ても似つかないふたりで「ローレンス」かぶりってのも笑っていいのか何なのか。

あと、トーマス・ニューマンの取ってつけたような(本当にスタジオの要望で入れたような)サスペンス音楽はいただけませんでしたね。

『沈黙』でも体温の低い映像を作っていたロドリゴ・プリエトの撮影は、今回も4Kマスターに耐えうる品のいいルックスを獲得していましたね。

【116分/シネマスコープサイズ/4Kマスター】(TOHOシネマズ日本橋9番スクリーン)

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