『SING/シング』(SING)★★★

動物たちがことごとくどいつもこいつも可愛いという無敵感。
ストーリーは予告編を観たらそれが全てと言ってもいい王道。悪く言えば類型的なもの。ところが、いわゆる三幕物の「転換ポイント」、起承転結でいうところの「転」の部分が、少々どころではすまない異常さだったので、そこだけは書いておこうと思います。なので、未見の方はネタバレになりますのでご注意ください。
<ネタバレあり>
いよいよ動物たちによる歌のステージが始まるというあたりで、結構このまま終わってもいいんじゃないかなというような雰囲気を作っているんですよ。まあ、映画なので必ずここで「主人公の挫折」というものが入るわけですけど、この「挫折」のシチュエーションがちょっとここ最近でも類を見ない様な凄さだったんですよ。なんと街なかに建っている主人公経営のステージ小屋の中で大洪水が発生。書いていてもなかなか伝わらないと思いますが、文字通り日本ではポスターなどに「災害を彷彿とさせる描写があります」という注意書きがあったりするんです。観る前にそんなものがあるなんて想像もしなかったので、観終わったあとにその注意書きに気づいたぐらいです。まあ、要するに「津波」を彷彿とさせるんですね。それも津波に巻き込まれてもみくちゃになる『インポッシブル』系のスペクタクルが。街なかでw
もう、「え!?」としか。
しかも、加えて素晴らしいのが、その後の主人公の末路。もともとその場所にあった父親の車洗車サービスを諦観漂う中で再開するんですが、これが予告編で散々見せられた「コアラ自身の体を使った洗車サービス」なんですよ。もちろん本編でもちゃんと大笑いできるネタになっているんですが、まあその前の惨状を目の当たりにしているだけあって、同情しかないという。
今回日本語吹き替えで観たんですが(ウッチャンをはじめとしてみな好演)、原語でのマシュー・マコノヒーの声でもぜひ観たいと思わせる名シーンだったと思います。
とはいえ、何と言っても動物がみんな可愛すぎます!!