偶然80年代お正月映画特集!

よく考えたら1986年の正月映画と、1989年の正月映画が2本ずつという組み合わせになっていました。不思議な偶然です!
自意識過剰かつ自分のことを口にせずにはいられない物静かな紳士を自称して憚らない筆者ですが、物忘れが激しく自分の発言すら外部ストレージ頼みになっているという現状を鑑み、今回「あんまり他人に言ったことのない趣味」をメモ代わりに書いていきたいと思いました。
そのあまり人に言ったことのない趣味というのは
ブックオフなどの100円バーゲンで昔の映画のノベライズ本を買う
と言うものです。
まあ、別に恥ずかしいとかそういうことではなく、そんなに他人に自慢できるような趣味でもないし、実際殆ど積極的に行っている趣味ではなく、古本屋さんに寄った時とかに気づいたら買っているという程度のものなので、特におおっぴらに人に言っていなかっただけです。
本日たまたま妻が一緒にブックオフに行ったのですが、今回の購入物を見て
「なんで、そんなの買ってるの?」
と訊かれ、
「そういえば、言ってなかったっけ?」
というレベルの趣味なのです。
そんな完全に自己満足の趣味(趣味に自己満足以外あるのかという意見はおいておくとして)ですが、せっかく買ったのを本棚の(実際には本棚に並べることもなくクローゼットのケースにしまってしまうw)肥やしにするだけではもったいないと思い、ちょっとその都度メモ代わりに記事にしておこうと思い立ったわけです。
というわけで今回購入したのは
『トップガン』1986年 作者:マイク・コーガン
『ハワード・ザ・ダック』1986年 作者:エリス・ウェイナー
『バットマン』1989年 作者:クレイグ・ショー・ガードナー
『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』 作者:クレイグ・ショー・ガードナー
の4冊です。

『バットマン』には「オフィシャル・パーフェクト・アルバム」の予約申込書に加えて、映画『バットマン』の宣材しおりが挟まっていました。古本を集めているとたまに購入時のこういった物がそのまま挟まっていてタイムカプセルのような気分を味わえます。
ほんとに偶然なんですが、『トップガン』と『ハワード・ザ・ダック』は1986年のお正月映画として同時期に公開された映画ですし、『バットマン』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』も1989年のお正月映画(日本では)で同時期に公開された映画でした。
しかも、『バットマン』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』に至っては、ノベライズを担当した作者も同じというw
こんな趣味を公言しておいて何なんですが、ノベライズ界隈のことは殆ど知識がありませんし、作家で知っているのも超有名なアラン・ディーン・フォスターぐらいです。

『トップガン』なんと発売二年後の十五刷です。基本的に「広告」としての役割がほとんどのノベライズは、よほどのことがない限り重版はされませんが、当時は割りと「ノベライズブーム」という感じで、こんな風にちゃんと売れていて、当然重版もされていたんですよねえ。まさに景気が良かったというw
とはいえ、自分の青春時代(主に80年代)に観た映画のノベライズを手に取ると、当時の空気や気分が蘇ってきて大変楽しい気分になるのです。これはのちに発売されたソフトなどとはちょっと違う感覚で、先述したようにノベライズ本は「広告」としての役割として発売される作品がほとんどですから、公開前に大体書店に並ぶんですよね。なので、公開前に「早く観たい!」と思いながら店頭でそれを眺めていた気持ちも一緒に真空パックされているんです。言ってみればポスターやチラシなどと同じ種類の感覚なんですよね。

なので『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』も当然六刷ですよ! まあ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのノベライズは、『E.T.』と並ぶほど「古本ノベライズ界」でも弾数の豊富な作品ですから、2も当然重版してますよね。
それを特に味わえるのが「あとがき」
正直に告白すれば、古本の多くがそうであるように、買った古本ノベライズ本は実際読んだりしませんw
ですが、「あとがき」は非常に面白いのです。
何故かといいますと、訳者の方や解説の方が公開直前の状況や内幕なんかを主に書いているからなんです。なんせノベライズ本が発売されるのは映画が公開される前なので、映画本編を観ていない方がほとんどです(中には『バットマン』のようにアメリカで先に観ている人もいる)。この感覚が「その映画を未見だった」時の気持ちをフラッシュバックさせてくれるんですよねえ。
例えば今回の『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』に至っては、公開直前までほとんど秘密主義で製作されていて、訳者の方や宣伝の方たちが誰も本編を観ていないという状況が赤裸々に書かれています。
おまけに『トップガン』のあとがきなんかでは、
主演のトム・クルーズはおそらく、この映画によって、日本でも数多くのファンを獲得するにちがいありません。
とか書かれていてニヤニヤがとまりません。
まさか訳者の山本光伸さんという方も、32年後の2018年になっても第一線のスターで、しかも飛行機のドアにしがみついたり、ドバイの超高層ビルの外壁にへばりついたり、ましてや『トップガン2』が未だに企画進行中だったりなんて未来は創造だにしていなかったでしょう。
もう一つ面白かったのは、「あとがき」によれば、『ハワード・ザ・ダック』は映画とはまるっきり違ってるようだということ。
物語もほぼ同じながら、じつは映画と様相を一変している。作者のエリス・ウェイナーが凝りに凝って書き上げた一編であり、それは本書をほんの数ページお読みくださればおわりいただける。
ここまで、書かれれば「買った古本は読まない」という主義(バチ上がりな主義だ)を返上してでもちょっと読んでみようかなと言う気になる。
まあ、読んだところで映画本編すら映画館で観たきりなのだから、どこがどう「一変」しているのかは多分わからないでしょうけれども。
あ、そうそう、ノベライズ本のもう一つの面白いところに「資料的価値」と言うものがありまして、それはノベライズ本というものが映画の製作と同時進行で執筆されるという性質上(なぜなら何度も書いているように公開前に発売する必要があるから)、ライターは映画本編を観ることはなく(例外もありますが)、脚本を元に執筆しているということです。
つまり、完成版ではカットされたり変更された箇所が読めるということです。
今回購入した『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』のあとがきにも書かれていますが、一作目の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は冒頭部分が全然違っていたそうで(これはメイキングなどでもよく言及されています)、それをノベライズでは読めるというわけです。
当時真面目にノベライズ本も読んでいたわたしが印象に残っているのはやはり
先述したノベライズ界の王様であるアラン・ディーン・フォスターが書いたこの2作。
オリジナル脚本を元に執筆されているので、後のディレクターズ・カットとして映像を観ることも出来た有名なカット(変更)されたシーンが本編にどのように入っていたのかが分かって大興奮したのを憶えています。
『エイリアン』ではやはり有名な船長とブレッドがエイリアンの卵に「なりかけている」という衝撃的なくだり。あれは本編を散々観た後に読んだだけにショックでした。後にレーザーディスクでそのシーンが観られた時の喜びときたら。
『エイリアン2』でも後の完全版として復活したシーンもノベライズでは普通に描写されていますし、例えばリプリーがニュートを助けに原子炉を探索するくだりで、卵を植え付けられたバーグと遭遇し、もう助からないと分かったバーグに「慈悲」として手榴弾を渡すというくだりなんかは完全版でも復活していなかったりします(撮影はされていてYouTubeなどでは観ることが出来ますね)。
というわけで、ノベライズ本は「小説を読む」という楽しみとはまったく別のコレクターズアイテムとして機能しうるわけです。
では、また何か購入したときか、すでに持っているノベライズ本コレクションから何か紹介したいと思います。
みなさんも気が向いたら昔のノベライズ本を探してみてください。結構楽しいですよ!
・・・
今でも後悔しているのがこちらの、『ジョーズ2』のノベライズ本。昔古本屋さんで見かけた時に書いそびれたのが悔やまれます。いやまあ、Amazonでも別段高い値段でもなく出品されているので買うことはできるんですが、ワンコインで買うのがこの趣味の醍醐味なんですよw
しっかし、昔はハードカバーでノベライズが出ていたりもして、ホント日本は結構景気が良かったといいますか、映画の宣伝素材が限られていたんだろうなあという温かい気分になれます。