『キング・コング髑髏島の巨神』(Kong: Skull Island)★★1/2

ヘリを鷲掴みにしているビジュアルなどを含めて、ギラーミンの『キングコング』を観る前に脳内でパンパンに膨れ上がった「俺コング」を現実化したような作品。夕陽や朝陽はデカければデカいほど正義なんだよ。
こちらはちゃんと予告も観ずに本編に臨みましたが、あれですよ、相変わらずレジェンダリーの映画はロゴが出て来るあたりからしてテンションが高くてですね。しかも、この映画、そのテンションのギアがドンドン上がっていくわけです。まずもうプロローグからして異様でw とりあえず、撃墜されてパラシュート降下した零戦のパイロットがいきなり刀持ってますもの! 帝国軍人たるものパイロットだろうと刀持っていて当然でしょうという「こうであれ感」が完璧で。
本編も全編監督の「俺コング節」が過剰に煮えたぎっている超快作に仕上がっており、先のプロローグでいきなり超望遠で捉えた巨大なコングが登場。そのまま、カイル・クーパーのこれまたテンションの高いオープニング・クレジットが終わったと思ったら、時代設定がベトナム戦争終戦時という、完全に「地獄の黙示録やりたいだけじゃねえか!!」という映画ファンの黄色い歓声を一身に受けて、監督の「地獄の黙示録愛」が全編に炸裂。そもそもタンカーにヒューイが並んでいる絵面からして「そういうのやめろよ!」という。しかも、そのまま先述したようにどんどん、どんどん、どんどどんとボルテージが上がっていき、いきなりヘリに向かって巨大な大木が飛んでくる!! 「最&高!」
リドリー・スコットやキャメロンやストラーロや押井守やらが築いていった「ヘリをとにかくかっこよく撮る」というスピリットを、「申し訳ないけど全部いただきます」という恥も外聞もない、クッッッッソ燃える映像で積み重ねまくった末でのコング登場ですよ!
ここらあたりのヘリからの主観やら、アオリ映像やら、グルグルカメラやらの異様なテンションと、なんといっても超望遠レンズ効果をバッキンバッキンに連発する極限のド迫力映像がナパームのように観客を焼き払っていく。
もう信じられないような燃え燃えシークエンスでした。
挙句にコングとサミュエル・Lがあの「眼力」でメンチをきりまくるという異常さ。
もうここまでで十分ここ数年に注ぎ込んだ映画料金の元はすべて回収されます。
が、
残念ながら、わたし個人としてはここまでがあまりにもボルテージ上がりすぎて、その後はどんどんテンションが下がってしまい、正直あくびが止まりませんでした。あの序盤の一大スペクタクルを超えるようなクライマックスさえあれば超評価も辞さずでしたが……
とはいえ、ピーター・ジャクソン版のような「子供にトラウマを植え付ける」ことを至上目的としているような作りではないので、スカッと爽やかな怪獣大戦争を楽しめるという意味では間違いなく楽しめることは確かです。
しかし、どう考えても序盤とのバランスがおかしいだろうw
マザファ
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