【2016年映画年間ベスト】ウマデミー賞【演技部門】発表!

では引き続き【ウマデミー賞2016】演技部門の発表です。

本場のアカデミー賞では技術部門と交互に発表されるようですが、ちんたらやっていると2016年とか言っているのがお寒い状態になっていくので、サクサクと進めたいと思います。

わたしは当然お芝居の訓練を受けていませんので、演技の優劣などを語ることは殆どできません。なので基準は

  1. 好みかどうか
  2. モノマネがしたくなるかどうか
  3. ご飯を美味しそうに食べることが出来ているかどうか

の3点が主なポイントになります。それを踏まえた上で各ノミネートと受賞をご覧いただければと思います。

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助演女優賞

『キャロル』

ルーニー・マーラ(テレーズ)

好みかどうかで言えばそれほど好みの顔立ちではないんですが、この映画での彼女は光り輝いていましたね。特にケイト・ブランシェットとのラブシーンなんて恍惚としてしまうほどで、惚れ惚れという感じでした。

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』

ガル・ガドット(ワンダーウーマン)

本編の中での登場シーン比率で言えば助演になってしまいますが、蓋を開けてみればタイトルロールの2大ヒーローを差し置いてブッチギリのインパクト(&テーマ音楽)と共に我々の前に現れたアレは主演と言ってもいいぐらいの存在感でした。しかも、超好みでしたしね!

『COP CAR/コップ・カー』

カムリン・マンハイム(うざいおばちゃん)

ストーリーに添えられたアクセントとしては華もなく、薬味にしては効きすぎるワサビのような存在感は、あのユニーク極まる作品の中でも異彩を放つと同時に、ベーコンと共にルックスを決定づけているともいえます。まあ、役者さんというよりもあのキャラってことになりますけどねw

『デッド・プール』

モリーナ・バッカリン(ヴァネッサ)

これまた強烈に好みの女優さんでした。そして、デッド・プールがアレほどまでに頑張る動機づけに十分な説得力を、色気と儚さで見事に観客にも納得させてくれていました。今作の成功の大きな要因の一つだと思います。

『ファインディング・ドリー』

青山ららちゃん(ベビードリーの日本語吹き替え)

吹替版を観た人ならなぜここに選ばれたのかはを書く必要がありませんw 開口一発目から「いっかああん!」となること請け合い。おっそろしいキャスティングやで……

『スティーブ・ジョブズ』

ケイト・ウィンスレット(ジョアンナ・ホフマン)

ケイト・ウィンスレットの類まれな「おばちゃん感」は出世作の『タイタニック』どころか、わたしが初めて目にした『乙女の祈り』の頃から画面内に横溢しておりまして、そんな彼女の持ち味をここまで遺憾なく発揮したキャスティングも無いんじゃないでしょうか。バックブリーカーを使わないプロレス映画である本作の中で、常にレフェリー(山本小鉄)役としてジョブズの側に寄り添う彼女があってこそ、数多くのバウトが華やかに盛り上がったのだとも思えます。

『シン・ゴジラ』

市川実日子(尾頭ヒロミ環境省自然環境局野生生物課長補佐のち課長代理)

傑作には総じて「儲け役」が多いことがありますが、『シン・ゴジラ』ぐらい儲け役の多い映画も珍しいんじゃないでしょうか。失礼を承知で言うならすべての役者さんにとって儲け役だったんじゃないでしょうかね。そんな中でも特に観客に強い印象を残すのが「無感情に抑揚も句読点も省いて一気にセリフを朗々と吐く」尾頭ヒロミを演じた市川実日子だったんじゃないでしょうか。もちろん石原さとみも別の意味で強烈な印象を残すのですが、カヨコ・アン・パターソン特使ではなく「石原さとみ」にしか見えない彼女と違って、市川実日子演じる尾頭ヒロミは、尾頭ヒロミ以外の何物でもなく、なおかつキャラのバックボーンなどが他のキャラ同様ほぼ真っ白な状態でソレを納得させるのは卓越した演技力以外の何物でもないでしょう。特に番宣などで出演した「天然ボケ」ぶりを見てしまうと尚更その感を強くしてしまいますw

それでは、最優秀助演女優賞の発表です!!!

デレデレデレデレ……

ウマデミー、ゴーズ、トゥー………

ガル・ガドット!!!!

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』

♪ティレレレー!ジャン!ジャン!ジャン!ジャジャン!!!

説明は不要ですよねえw

他のノミネートの方々には申し訳ないけど相手が悪すぎたとしか言いようがありません。あしからずご了承くださいませ。

続きまして、

助演男優賞

『ブリッジ・オブ・スパイ』

マーク・ライランス(ルドルフ・アベル)

本家のアカデミー賞でも助演男優賞を受賞して、わたしたちのスタローンを残念がらせたわけですが、それも仕方がないとしか言いようがない説得力の塊のような芝居でした。「役に立つか?(Would it help?)」の名セリフと共に深く記憶に刻み込まれることでしょう。

『残穢(ざんえ)―住んではいけない部屋―』

佐々木蔵之介(平山夢明)

この記事を書いている本日ブルーレイで観直したからでもないんですが、劇場で観終わった後のトイレで若者二人が「佐々木蔵之介ペナルティーなしかよ!」と言わしめた飄々ぶりですよね。登場人物がもれなくなんらかのいやあ~な目に遭っているにも関わらず、平山夢明だけには何にも起こらないというあのキャラを見事に映画的に体現していたんじゃないでしょうか。やはり白眉はアノ部屋に入った時につぶやく「…おっと……」ですよね。

『オデッセイ』/『スティーブ・ジョブズ』

ジェフ・ダニエルズ(セオドア・サンダース/ジョン・スカリー)

社会的地位もあって責任者としての裁量や厳しさを持ち、偽悪的ながら心底では善人という、ほとんど同じキャラクターを一年に2作も演じたジェフ・ダニエルズですが、これがまたどちらも絶品というわけの分からない事態に。スカリーのほうがカツラ分一歩リードかと思えましたが、『オデッセイ』での彼もすべてのキャストがベストワークという作品を牽引する文字通りリーダーシップを発揮していたとも思えるので、ダブルノミニーとしました。また、両作共に吹替を担当している郷田みずほ氏の功績も合わせて記しておきます。

『ヘイル、シーザー!』

アルデン・エーレンライク(ボビー・ドイル)

何のためにお前はそこに要るんだと常に観客にクエスチョンを叩きつけながらも、観客は彼の一挙一動にすべて爆笑せざるを得ないという意味では、屈指の助演男優賞候補といえるんではないでしょうか。投げ縄を振り回すだけで笑わすだけでなく、今作屈指の大爆笑シーンである、「靴の音が常に不規則に鳴り響く」アレは腹が捩れるかと思いました。ドアの開け方からして面白いんで、やはり彼の功績なんじゃないでしょうかね。ハン・ソロ、大いに期待しましょう。

『エンド・オブ・キングダム』/『ハドソン川の奇跡』

アーロン・エッカート(大統領/副操縦士)

わたしはもともとアーロン・エッカートの大ファンなのですが、それを差し引いても今年の彼の「衝撃に備える」ブリは古今例がないほどの豊作でした。承太郎に「2度とテメーとはいっしょに乗らねえ」とボヤかれるのは確実。また、『ハドソン川の奇跡』のIMAXアスペクト比問題では、せっかく「テーブルの上に靴下のまま足をのせる」という芝居をサラっとトリミングされていたのも印象深かったですね。

まあ、この顔はアスペクト比関係なく面白いんですがね。

『スポットライト 世紀のスクープ』

リーブ・シュレイバー(マーティ・バロン)

本家アカデミー賞では作品賞をかっさらった本作は、主演や助演という区分けが無意味に思えるほどすべてのキャストが好演していた素晴らしいアンサンブル映画でした。そんな中でも編集長を演じたリーブ・シュレイバーの静かな存在感のもたらす説得力は非常に印象深く心に残りました。マーク・ラファロがピザを食べる時に「よおおし!」と言わんばかりに手を叩こうが敵わない何かが彼にはありましたね。

『何者』

山田孝之(先輩)

山田孝之の「映画やソレ以外におけるここ数年の存在の面白さ」というのはなかなか他に類を見ないと思うんですが、「普通に抜群にうまい役者さんだったんだ」というのが、よっくわかる芝居をイチイチ見せつけてくれる映画でした。そもそもカップ麺を作る段階から美味しそうだと思わせる役者はなかなかいませんし(匹敵するのはのび太ぐらいか)、何より主人公に声をかける時の、声にならない「…っお…」は絶品でした。

それでは最優秀助演男優賞の発表です!

デレデレデレデレ……

ウマデミー賞、ゴーズ、トゥー………

アーロン・エッカート!!!

『エンド・オブ・キングダム』/『ハドソン川の奇跡』

やあ、もう今年はアーロン・エッカートが二本も観られただけでも嬉しい。『エンド・オブ・キングダム』は相変わらずのヒロインぶりに拍車をかけていましたし、『ハドソン川の奇跡』ではトム・ハンクスの向こうを張って「まったく気負いの感じられない」ナチュラルな芝居を全編炸裂させてくれました。何と言っても最後のセリフをあれだけハズす事無く見事に言った功績は映画そのものの成功に直結しているといえるでしょう。

つづいて主演部門です!

主演女優賞

『残穢(ざんえ)―住んではいけない部屋―』

竹内結子(小野不由美)

今年はわたしのなかで新垣結衣さんと竹内結子さんが二大大好き女優さんとして君臨していまして、映画では竹内結子さんがダントツのハマり方でした。今作ではツボすぎた「地味女」を見事に演じており、これまた好みの「メガネ美女」属性をも合わせ持っていましたからね。無敵としか言いようがない。しかも掟破りの首コルセットまで披露してくれましたから。もう何も言うことはないです。

『キャロル』

ケイト・ブランシェット(キャロル)

この映画のケイト様の神々しさは筆舌に尽くし難いもので、監督が明らかに惚れ込んでいるとしか思えませんでした。隅から隅まで作品の中で輝きまくっていて、撮影監督の的確なテクニックも相まって、観客すべてが「そりゃ惚れるわな」と納得するに十分な存在感。わたしの中での揺るぎない確定因子として君臨する大地真央さんに迫るような、極めつけの圧力が画面から発せられていました。

『10 クローバーフィールド・レーン』

メアリー・エリザベス・ウィンステッド(ミシェル)

限定された舞台とたった三人の登場人物という、舞台劇が原作と言っても通るシナリオが秀逸だった本作。主人公でありヒロインであるミシェルはこの手の映画の登場人物としては頭一つ抜き出た「頭の良さ」を随所に発揮してくれるわけですが、メアリー・エリザベス・ウィンステッドはその知的さを絶妙のさじ加減で体現しています。シナリオには恵まれないことの多い彼女ですが、振り返れば『遊星からの物体Xファーストコンタクト』でも知的な持ち味で観客を味方につけることには成功していたように思います。出世作である『デス・プルーフ』のチアガールの格好のまま退場というハンデを遂に無くしたように個人的には思えます。とまあ、理屈をつけていますが、単純に好みなんですけどね。

『湯を沸かすほどの熱い愛』

宮沢りえ(お母さん)

全身全霊という以上の言葉が思い当たらないほどのブッチギリの芝居をもってして、全観客を殺しにかかってくる凄まじい仕事でした。(ちなみに役名を書いていないのは、せっかくのミスディレクションの効果を無くしてしまうので敢えてです)

彼女をティーンエイジャーの頃から知っている世代にしてみると、波乱万丈としかいいようのない人生を凛とした姿で生きてきたそのものが映し出されているように思えてならないのです。まあ、そんなのは役者さんには褒め言葉にはならないと思いますけどね。それにしてもあれだけ見事なビンタができる女優さんも珍しいんじゃないでしょうかね。観客全員が「イッタ!」ってなりますからね。タイミングとか呼吸とか完璧なのね。ビンタ慣れしているといいますかw

それにしても、現実世界で元気な姿がニュースとかで流れるだけで「ああ、ちゃんと生きてる……」と心底ホッとさせるんですから、どれだけ「生きた芝居」だったか知れようというものです。

『この世界の片隅に』

のん(浦野すず)

映画が始まった開口一発目から「な!」となります。上手く言葉が見つからないんですが、「漫画のキャラクターが実際に声を出したらこんなんだろうな」という感じでなんです。生身の人間の声じゃないんですよ。ほら、家弓家正さんなんかがまさにそんな感じでしょう? 具体的に言うと「ブレスが感じられない」とでも言いますか。生物感がないんですよ。本当にアニメや漫画のキャラから声が出てるの。観た人はみんな頷いていただけると思うんですよコレ。傑作というのは色々なエレメントが「映画の神様」の采配としか思えないように「コレは!」という出来で結合していくんですけど、まさかあの人の声がココまでハマるとは正直ぶったまげましたね。

というわけで、最優秀主演女優賞の発表です!!

デレデレデレデレ……

ウマデミー賞ゴーズ、トゥー……

宮沢りえさん!!!

『湯を沸かすほどの熱い愛』

いや、アレですよ。この映画の彼女にあげなかったら、何が主演女優賞なんだっていうことなんですよ。もちろん実際に上手いお芝居ってのはもっとサラっとしたものかもしれませんよ? でも、そういう理屈はどうでもいいんですよ。病室での目をカッ開いたあの表情! あんなの普通の人間には出来ませんよ。好きな芝居の条件に「モノマネがしたくなる」というのをあげておいて、なんなんですが、あんなの到底真似出来ない。そういうブッチギリなものは評価せざるを得ません。パチパチパチパチ。

では、演技部門の最後は主演男優賞でえす!

主演男優賞

ではノミネート発表。

『リリーのすべて』

エディ・レッドメイン(リリー・エルベ)

エディ・レッドメインは元々大好きな役者さんでしたが、トランスジェンダーのリリーを官能性たっぷりに演じていて惚れ込みました。初めて女装をしてパーティーに出席した時の戸惑いぶりと、初めて女として男性(ベン・ウィショーのハマりぶりw)と話す時の声が出ない感じなんかは本当にリアリティ抜群。挙句の果てに女装していなくても「中身が女性」にしか思えないし見えなくなるんですよねえ。加えて特に女顔でもない彼を見事に美しい女性に変貌させたメイクアップアーティストやヘアメイクさんたちの仕事も褒め称えなければいけませんよね。

『ボーダーライン』

ベニチオ・デル・トロ(Sicario)

アノ目!!

ヨハン・ヨハンセンによる凶悪極まりないサウンドトラックやロジャー・ディーキンスの撮影と共に、この作品を他のこの手の映画から一線も二線も画している存在は間違いなくベニチオ・デル・トロでしょうね。基本的にベニチオ・デル・トロは常に「魂の存在しない目」を切り札として使用していますが、この映画におけるアノ目は文字通り「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」を観客に強いる事に成功しています。FIXの画面で1ミリも身動ぎせぬまま瞬時にスリーショットを成功させるあの瞬間も含めて、終盤の彼の一挙一動に全身がビリビリしながら硬直を余儀なくさせてくれます。なんなんだよアレ。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』

クリス・エヴァンス(キャップ)

この手のジャンル系映画は得てしてお芝居が云々カンヌンされることはあまりないですが、マーベルの映画は役者さんたちも芸達者な人が揃っており、ドラマの部分でも隙があまりなくて。それって実はけっこう重要なポイントなんじゃないかなとも思っています。とは言え、アメコミ映画ってカテゴライズの意味がほとんどなくなってきている昨今では、そういう意識すら前時代的なのかもしれません。そんな中、クリス・エヴァンスの芝居が特に評価されるような話を残念ながら聴かないんですが、彼がキャップを演じる時に醸し出す「正義」の魂って他の人じゃ出来ないんじゃないかなと思うんですよ。「ああ、キャップの言う事なら間違いない」と思わせてくれるといいますか。「ああ、彼が好きならバッキーも間違いなくグッドガイなんだろう」とか「ああ、彼に頼まれたらそりゃアントマンだって無条件でヘルプするよな」とか、「ああ、あんな顔でボゴボゴに殴られたらそりゃ社長でも『盾は置いていけ!』とか言っちゃうよなあ」とか。そういう説得力を生んでいるんですよ。そこに加えてわたしを痺れさせたのはやはり中盤の「ヘリのテイクオフを腕力だけで阻止する」シーンなんですよねえ。あの時のはち切れんばかりのマッスルから生じる無条件の説得力。だって、地球には重力があるんですよ? キャップがいくら腕力があったって体重も変わらないんですし、足が離れたらいくら引っ張ったって一緒に宙に浮くのが物理法則の世界ですよ。なのに、キャップが「えい!!」と力を込めればヘリが降りてくるわけですよ。「ああ、そりゃあんな筋肉と顔面でぶら下がれば重力なんてケチなものはキャップの敵じゃないよな」とね。その肉体というものの存在感をこれ以上無いほど作り上げているわけですから、クリス・エヴァンスすごいよなあと。しかも、言うに事欠いて「あそこでは裸になったほうがいいと提案したんだけど、却下された」真顔で言ってますからね。「こいつは分かっている!」と。信頼っていうのはこういうところから始まるわけですから、間違いなくクリス・エヴァンスは信頼できるやつですよ。

『ヘイル、シーザー!』/『マネーモンスター』

ジョージ・クルーニー(ジョージ・クルーニー)

ジョージ・クルーニーがジョージ・クルーニーを演じてすでに数十年の月日が流れていますが、常にベストのジョージ・クルーニーらしさを維持し続けているのは本当に驚嘆に値すると毎年思っています。そして、もちろん今年も全宇宙一のアニキであるジョージ・クルーニーがまたやった!

どちらも役割的には「助演」と言ってもいいんですが、ジョージ・クルーニーが出ている場合は常にそれは「主演」 そんなことに疑問を感じる奴は「そんなこともわかんねえのかぁ」と佐藤浩市に涙声でドヤされるべきです。

今回「分不相応に史劇にチャレンジしようとして誘拐されてしまうジョージ・クルーニー」と「テレビで低所得層をカモにしようと馬鹿げた自作のダンス披露して、当然の報いとして番組生放送中にハイジャックされてしまうジョージ・クルーニー」と、奇しくも同じようなジョージ・クルーニーを演じることになったジョージ・クルーニーですが、そりゃジョージ・クルーニーを演じさせたら右に出るものは誰一人いないジョージ・クルーニーですからね。観客の誰もが「ま、ジョージ・クルーニーだからな」と、特に何も疑問を抱かない絶品のクルーニーぶりですよ。映画界には「トムのトムによるトムのためのトム・クルーズ」という言葉がありますが、「それにつけてもジョージはクルーニー」も書き添えておきましょう。

『シン・ゴジラ』

長谷川博己(矢口蘭堂内閣官房副長官および巨大不明生物特設災害対策本部事務局長のちに巨大不明生物統合対策本部副本部長および特命担当大臣s.k.aランドゥーヤグチ)

怪獣映画の主演俳優というのは大抵怪獣に食われてしまうものです。健全な怪獣映画というのは大抵そういうものなのですが、この『シン・ゴジラ』という映画は「ゴジラも役者も天秤のバランスを保っている」稀有な作品としても記録されるべき映画だと思います。そんなことが出来たのは『宇宙戦争』トムぐらいでした。この作品の長谷川博己はゴジラを真っ向から相手にしつつ、揃いも揃った曲者ぞろいの役者陣すら相手にする必要が合ったわけで、そんな中でのあの存在感ですよ。しかも、素性のディティール一切なし!(親が政治家だったことぐらいでしょうか)それをその場の一挙一動のみで体現しているのですから、その演技力や推して知るべしでしょう。

というわけで最優秀主演男優賞の発表です!!!

デレデレデレデレ………

ウマデミー賞ゴーズ、トゥー………

じゃん!

長谷川博己!!!!

『シン・ゴジラ』

上記に加えて特筆すべきなのは彼の持つ「実際はコメディもいける」という部分じゃないでしょうか。終始真顔であり続けるのに、なんとも言えない「ツッコミ」待ちな雰囲気が絶妙なんですよ。特に初めて石原さとみと対面した時の引きの画の「間」ね。流暢に横柄に言いたいことをまくし立てた石原さとみのアップからポンと引いた時の受けの芝居ですよ。観客が全員彼と一心同体となるあの瞬間。

「……なんだ、こいつ?」

という「間」ね。映画自体がシリアスなルックスを持ちつつも根本的にはコメディとしても成立しているこの映画の最も滑稽なシーンとして個人的に彼に満点をさしあげたい。

そういう彼だからこそ

「云いにくいな。日本名は本来のゴジラにしよう」

「名前はともかく……進めてくれ」

「ゴジラ凍結作戦も子供っぽいですから、ヤシオリ作戦としましょう」

などなどのよく考えたら「なんだ、そりゃ」というシナリオ上のご都合主義を楽しく感じさせてくれるんですよ。

しかも、日本では丹波哲郎しか上手くいった試しのない「演説」ですよね。

彼の国ではこの手の「演説」が滅法上手くできる役者さんが多いのが特徴であり素敵な部分でも合るわけですが、ついに我が国でもアレだけ力の溢れる「演説」シーンが誕生するとは。あの大騒ぎのお祭り騒ぎだったバルト9における伝説の「発生可能上映」ですら、観客一同水を打ったように静まり返って一言一句聞き入っていたほどの名演説でしたからねえ。

ついでにNHKの『紅白歌合戦』でも真顔で頑張っていたのも高得点でした。



というわけで、長くなりましたが演技部門でした。まだまだ漏れもありますが(泉ちゃんはどうしたんだよとかね)、キリがないのでw

続いては技術部門につづきます。乞うご期待!

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